アンチエイジングのためのプチ断食・ファスティングとは?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回はアンチエイジングのためのプチ断食・ファスティングについて述べていきたいと思います。
慢性炎症を抑えるためのアンチエイジングを実現させるためには、時々、プチ断食やファスティングを行ってみるのも有効だと考えられます。
その理由は、長寿遺伝子とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」には、炎症を抑制し、若さと健康を保つ働きがあるとされているからです。
そしてその「サーチュイン遺伝子」は、飢餓状態になると活性化されるといわれていますので、常に満腹でいるよりも、時々、意識的に空腹状態を作ってあげたほうが、アンチエイジングと長寿の実現のためには良いと考えられるのです。
またファスティング(断食)を行うと、オートファジー(自食作用)が活性化し、細胞内の不要物が大掃除されるといいます。そのオートファジーによって、細胞が若返るとされているのです。
ファスティングをおこなうことで、浄化システムのオートファジーが活性化することがわかっています。
すると、これまで再利用しきれていなかったタンパク質や古いミトコンドリアなど、細胞内の不要物を大掃除することになります。大掃除の後は、新しく生まれ変わった細胞で身体は満たされるようになります。ですから、細胞レベルで若返り、健康な身体を取り戻すことができる、とうわけです。(田中裕規『究極の断食力』p83)
断食(ファスティング)によって空腹の時間をつくることはアンチエイジングのために効果的
もしオートファジーによって細胞が新しく生まれ変われば、そのぶん老化が防がれ、若々しくいるためのアンチエイジングへとつながっていくことは十分考えられます。
したがって断食(ファスティング)によって意識的に空腹の時間をつくるようにしてみることは、アンチエイジングのために効果的だと思われます。
ちなみに、食べ過ぎによって肥満になると、全身で炎症が起きやすくなるとされています。そして、だらだらと続く「慢性炎症」は老化を促すとされています。
そのため、プチ断食やファスティングを行なったり、腹八分を心がけたりすることは、肥満を予防するとともに、慢性炎症による体の老化を防ぐことにもなるのです。
まずはアンチエイジングのためにプチ断食・半日断食から始めてみる
しかし、ダイエットやアンチエイジングのためだからといって、いきなり1~3日間何も食べないような極端なファスティング(断食)に挑戦するのは、逆にストレスになる可能性も生じてくるため、あまりお勧めできません。
また、3日以上の長期の断食(ファスティング)は、専門家の指導のもとに行う必要があります。
個人的にオススメなのは、まずは朝や昼だけ、ビタミンやミネラル、ポリフェノール、食物酵素などがバランスよく含まれた無添加の野菜ジュースや酵素ドリンク、スムージーなどだけで済ませるプチ断食・半日断食です。
このような野菜ジュースや酵素ドリンクを利用したプチ断食・半日断食は、完全に食べ物を断つわけでなく、からだに必要な栄養素は補充されるので、「断食」を敬遠しがちな方でも始めやすいですし、アンチエイジングやダイエット、デトックスのための食べない健康法としてもオススメです。
そのほか、平日は仕事や学校があるためにしっかりと食べないと気が済まないという方は、何も予定がない日や日曜日など、自分が比較的行ないやすいと思う日に実行してみると、プチ断食を始めやすいです。
アンチエイジングで慢性炎症を抑えるには過剰なストレスを減らす
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回はアンチエイジングで慢性炎症を抑えるには過剰なストレスを減らすことが大切だということについて述べていきたいと思います。
ストレスによって増え過ぎた活性酸素(フリーラジカルの一種)は私たちの細胞にサビつきと劣化をもたらし、老化を促してしまうため(酸化ストレス・慢性炎症)、アンチエイジングの観点からすると、必要以上のストレスは大敵だといえます。
また、近頃は、慢性的に続く「キラーストレス」が生活習慣病の多くの原因になったり、時には命をおびやかしたりすると指摘されるようになりました。
ストレスとアンチエイジングの関係とは?
そのストレスとアンチエイジングの関係については、例えば医学博士の根来秀行氏が
人間関係などでストレスを感じ、精神的に安定していない時に、胃がキリキリ痛んだり、肌の荒れやニキビの出現などを経験したことのある方も結構いると思います。これは、ストレスホルモンの作用によるものなのです。そして、このストレスホルモンが老化を進めるのです。(根来秀行『身体革命 世界最先端のアンチエイジングの法則』p194)
過剰なストレスが続くと、コルチゾールの過剰分泌が起きます。コルチゾールの過剰分泌は体内の免疫機能を低下させ、血糖値を上昇させ、さらに交感神経を興奮させる作用があります。交感神経が緊張することにより、今度はアドレナリンが分泌され、アドレナリンは全身の血管を収縮させて血圧を上げてしまいます。胃腸粘膜の血管も収縮させてしまうことになります。これらの体に負の作用は結局のところ肌の老化をはじめ、全身の老化を進めてしまうことにつながっていくのです。(根来秀行『身体革命 世界最先端のアンチエイジングの法則』p194~195)
と述べています。
ストレスのコントロールはアンチエイジングのために大切
そのため、ストレスや「酸化ストレス」による体の老化や慢性炎症を防ぐには、日常生活での不必要な「ストレス」を少なくするためのストレス対策が大切になってくるのです。
そのストレス対策とは、例えば、不快なストレスによって炎症が起きないよう、ストレスと適切な距離をとることを常に意識することです。
また、余計なストレスを溜め込まないよう、ストレスを過剰に感じたらその都度に深呼吸や軽いストレッチをしてリラックスするよう心がけるなど、自分なりのストレス対策やストレス解消法を用意しておくのも効果的だと考えられます。
さらに、
- 何事も楽観的に捉え、毎日楽しく生きる
- 過去に対する後悔や未来への不安に対して思い悩むのやめ、今に感謝する
- 自分のやりたいことだけをやるようにする
といったようなことを心がけ、ストレスを自分なりにコントロールすることもアンチエイジングのためには大切だと思われます。
アンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐ方法とは?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回はアンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐ方法について述べていきたいと思います。
これまでの記事で述べてきたように、活性酸素による酸化ストレスや終末糖化産物「AGE」による体内の糖化は、「慢性炎症」を引き起こし、そのことがカラダの「老化」を促す原因になると考えられています。
したがって、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐことが、すなわち老化を予防するための「アンチエイジング」になるのです。
また、「アンチエイジング」を正しく実践することは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐことにつながるのです。
⇑ ⇓
慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐ
ではアンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐ方法とは何でしょうか?
その方法とは以下が考えられます。
アンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐための方法
アンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐための方法とは?
余計なストレスを減らす
増え過ぎた活性酸素(フリーラジカルの一種)は私たちの細胞にサビつきと劣化をもたらし、老化を促してしまうため、アンチエイジングの大敵だといえます。
そしてこのことは「酸化ストレス」とも呼ばれていますが、この「酸化ストレス」は、私たちが一般的に「ストレス」と呼んでいるものによって引き起こされると考えられます。
そのため、「酸化ストレス」を減らすためには、日常生活での不必要な「ストレス」を少なくするためのストレス対策が大切になってきます。
そのストレス対策とは、例えば、不快なストレスによって炎症が起きないよう、ストレスと適切な距離をとることを常に意識することです。
また、余計なストレスを溜め込まないよう、自分なりのストレス対策やストレス解消法を出来るだけ多く用意しておくのも良いと思います。
さらに、
- 緊張したらなるべく深呼吸などをしてリラックスを心がける
- 何事も楽観的に考える・感謝する
- 自分のやりたいことだけをやるようにする
といった日頃の習慣もアンチエイジングのためには大切です。
プチ断食・ファスティング
長寿遺伝子とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」には、炎症を抑制し、若さと健康を保つ働きがあるとされています。
そしてその「サーチュイン遺伝子」は、飢餓状態になると活性化されるといわれています。
またファスティング(断食)を行うと、オートファジー(自食作用)が活性化し、細胞内の不要物が大掃除されるといいます。そのオートファジーによって、細胞が若返るとされているのです。
したがって意識的に空腹の時間をつくるようにしてみることは、アンチエイジングのために有効だと考えられます。
いきなり1~3日間何も食べないような極端なファスティング(断食)に挑戦するのは、逆にストレスになる可能性もあるためお勧めできませんが、朝や昼だけ、栄養バランスが良い無添加の野菜ジュースや酵素ドリンク、スムージーなどだけで済ませるプチ断食・半日断食は、アンチエイジングのための食べない健康法としてオススメです。
ゆるやかな糖質制限
糖質の摂り過ぎは老化と糖化の原因になる「AGE」を増やしてしまうことにもつながりますから、「糖質制限」を行うことは、アンチエイジングのために必要になってくると思われます。
しかし糖化を防ぎ、アンチエイジングを実現させるための糖質制限は、無理に糖質ゼロを目指すのではなく、まず、ご飯やパンなどの炭水化物に偏った食事や、人工甘味料、白砂糖がたっぷり入った甘いお菓子などを避けることが必要だと考えられます。
またご飯やパンを食べる前にまずサラダを食べるなど、血糖値を急激に上げないようにする工夫も大切になってきます。
糖質をゼロにすることによって「ケトン体」が体内で作られることが、ダイエットやアンチエイジングのために効果的だと喧伝されることがあるかもしれませんが、長期的に見て、「糖質制限」によって糖が慢性的に不足した状態が、長寿と健康のために本当に良いかどうかはまだ分からないのです。
抗酸化・抗炎症のための食事
慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジングを実現するには、ビタミン類やミネラル類、食物繊維、ファイトケミカルが豊富な野菜や果物を、積極的に摂っていったほうが良いと考えられます。
ビタミンやミネラルは、新陳代謝を良くするために必要な栄養素ですし、食物繊維は腸内細菌のバランスを整え、腸内環境を改善するために必要です。
また、野菜や果物に多く含まれるファイトケミカルには、活性酸素による細胞の老化を防ぐ「抗酸化作用」があります。
ファイトケミカルには、β‐カロテン、リコピン、アスタキサンチン、ルテインなどのカロテノイド類や、アントシアニン、イソフラボン、ケルセチン、へスぺリジンなどのポリフェノール類がありますが、これら、野菜や果物に含まれている化学成分の一部には、「抗炎症作用」をもつものもあります。
腸内環境の改善
腸内環境を整えることは、老化を防ぐためのアンチエイジングを実現させるために必要不可欠です。
なぜなら老化や体内の慢性炎症に関係しているストレスは、腸内環境にも影響を与えているからです。
特に近頃は、ストレスなどが原因で腸管からバクテリアやウイルス、化学物質などが体内から流れ出してしまう「リーキーガット症候群」が、炎症の原因になるとして問題視されています。
そのため、ストレスによる体内の炎症を抑えるためには、腸内環境に目を向けることが非常に重要なのです。
実際、腸内細菌のバランスが整い、腸内環境が良い人ほど、ストレスにも強いといわれています。
したがって、慢性炎症を抑えるためには、腸内細菌のバランスを整えることで、腸内環境を改善することが必要不可欠になってくると考えられます。
適度な運動
「運動」は慢性炎症を抑えたり、老化を抑えるアンチエイジングを実現させたりするのに効果的だとされています。
特に適度な運動を行うことはストレス解消に最適だといわれますが、ストレスがなくなるということは、からだで起こっている慢性的な炎症が抑えられるということでもあるのです。
しかし息切れするような激しい運動は、活性酸素によって酸化ストレスが増してしまいますので、逆効果になります。そのため、体が爽快感ではなく、ひどい疲れを感じるほどに運動を行うことには注意が必要です。
一般的に1日に30分程度、軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことは、炎症を抑えるのに効果的です。
また、少し体に負荷をかけるトレーニングと、ゆっくりとしたトレーニングを交互に行うサーキットトレーニングを行うことは、細胞内のミトコンドリアを増やすのに有効だとされています。
ビタミンD・メラトニンのための日光浴
慢性炎症は老化を加速させますが、ビタミンDやホルモンの一種であるメラトニンは、慢性炎症を抑える働き・抗炎症作用や抗酸化作用をもつとされています。
ビタミンDもメラトニンも、直接太陽の光を浴びる日光浴によって体内で作られますので、慢性炎症を抑えるためには、1日に10~20分、日光浴を行うことが大切になってきます。
また、パソコンやスマートフォンなどが発せられる「ブルーライト」を夜に浴びると、メラトニンが分泌されにくくなるので、夜遅くまでパソコンやスマートフォンの画面を見続けるのは避けた方が良いといわれています。
そのほか、夜の明かりは白色のLED照明ではなく、暖かな感じがする電球色に変えてみるのもお勧めです。
以上が、アンチエイジングで慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐ方法についてです。
ストレスがリーキーガット症候群と慢性炎症を引き起こす。
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回はストレスがリーキーガット症候群と慢性炎症を引き起こす、ということについて述べてみたいと思います。
前回は、腸内環境の改善によるストレス対策が慢性炎症を抑える、ということについて書きましたが、近頃は、ストレスなどが原因で腸管からバクテリアやウイルス、化学物質などが体内から流れ出してしまう「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」が、慢性炎症の原因になるとして問題視されています。
そのため、ストレスによる体内の炎症を抑えるためには、腸内環境に目を向け、腸を大切にすることが非常に重要になってくるのです。
ちなみにこの「リーキーガット症候群」とは、腸管のバリア機能が弱まることで、細菌や未消化のタンパク質など、様々なものが血液中に入りこむ事態のことです。
必要以上にストレスを感じることなどによって、腸内環境が悪化したり、腸内細菌のバランスが崩れてしまったりすると、腸管のバリア機能が低下して、細菌や未消化のタンパク質などの異物の体内への侵入を許してしまうというのです。
腸粘膜バリア機能の破綻は免疫系の制御異常を引き起こして、炎症性腸疾患、食物アレルギー、経粘膜感染症など、さまざまな疾患の発症の原因となります。近年、患者数が増加し続けている潰瘍性大腸炎やクロ―ン病などの炎症性腸疾患も、腸管のバリア機能が原因の一つとして考えられています。
また最近では、「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」も問題になることが多くなってきました。(藤田紘一郎『腸内細菌が家出する日』p163~164)
ストレスなどによって、そこを通ってからだに悪影響を及ぼすものが腸管の血管内に入りこみ、血液へと流れ込むことで全身に回ってしまうのです。要するに、からだにもともと備わっていたバリア機能がすっかり弱まってしまうわけです。
こうなると、便秘や下痢などを起こしやすくなるのはもちろん、やがてその影響は全身に及びます。血液に流れ込んだ細菌や真菌(カビ)、化学物質などが肝臓にたどり着き、まず肝機能が落ちます。さらに人によっては、アレルギー疾患や関節炎、疲労感やうつ、頭痛、肥満などが表れてくるのです。(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p84)
リーキーガット症候群を防ぐにはストレス対策と腸内環境の改善が大切
「腸もれ」とも呼ばれる「リーキーガット症候群」は、からだのなかで炎症を引き起こすことにつながり、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、さらには膠原病などの難病とも関係してくるとされています。
したがって、リーキーガット症候群を防いで余計な異物が体内に入りこまないようにするためには、味噌やヨーグルトなどの発酵食品をはじめとした有用菌が含まれた食品である「プロバイオティクス」や、善玉菌のエサになる食物繊維などが含まれた「プレバイオティクス」によって腸内細菌のバランスを整え、腸内環境を良くしていく食習慣をもつことが大変重要になってくるのです。
腸内環境の改善でストレス対策
またリーキーガット症候群を防ぐには日頃からのストレス対策が必要になりますが、実は腸内環境の改善を行うこと自体、ストレス対策になるのです(詳しくは以下の記事を参照してください)。
腸内環境の改善によるストレス対策が慢性炎症を抑える
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回は腸内環境の改善によるストレス対策が慢性炎症を抑えるということについて述べていきたいと思います。
乳酸菌や食物繊維などによる腸内環境の改善が、ストレス対策に効果を発揮する理由は、腸内に乳酸菌などの善玉菌が増えると、その分、ストレスに対する抵抗力やストレスへの耐性が増すと考えられるからです。
以前の記事で、必要以上のストレスを感じることは、酸化ストレスによる慢性炎症につながるということについて述べましたが、そのような過剰なストレスの対策や緩和に、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やすこと、すなわち腸内細菌のバランスを整えることは有効だと考えられるのです。
このストレスと腸内細菌の関係については、2004年、科学雑誌「Journal of Physiology」に掲載された九州大学の須藤信行教授の研究が有名ですが、マウス実験においては、腸内細菌の存在がストレスの影響を左右していることが分かったのです。
このことはどういうことかといえば、腸内にどのような腸内細菌が生息しているかによって、体内のストレスに対する反応は変わってくるということです。
慢性炎症を抑えるためには腸内細菌のバランスを整えることが必要不可欠
また医学博士の藤田紘一郎氏は、『人の命は腸が9割』のなかで、
「ストレスへの耐性を自ら高めることが、病気を防ぐ最大の方法」
であるとし、
「ストレスから心身を守るには、善玉菌が優勢で、多種多様な菌が共存する腸内環境を保つ工夫をすることです。それが心身のストレスへの耐性を自ら高める最大の方法です」
と述べています。
腸にはたくさんの神経細胞が集中していますから、脳が感じたストレスの情報が、脊髄や自律神経を通じてすぐさま伝わります。そのため、腸は非常にストレスに敏感です。
また、食道から胃、腸にいたるまでつながっている消化管は、脳とは独立した独自の神経系があるため、脳からの情報をただちに受け取るだけでなく、脳に対してさまざまな情報発信を行っています。
腸は、情報伝達の受け手というよりは送り手であることのほうがはるかに多いのです。体の中では脳が司令塔としてもっとも重要な役割を果たしていると考えている人が多いでしょうが、真の司令塔は腸にあるというわけです。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p24~25)
さらに、ロブ・デサール , スーザン・L. パーキンズ氏らによる『マイクロバイオームの世界』でも、
微生物コミュニティの構造の変化は腸にいくつかの影響を及ぼす可能性があるが、なにより重大なのは、炎症にかかわる影響かもしれない。消化管では、腸壁の透過性を上げ、結果的に腸の微生物相の数と種類を調整するうえで決定的な意味をもっている。ストレスは腸膜の透過性を上げ、結果的に腸の微生物相に影響を及ぼす。(ロブ・デサール , スーザン・L. パーキンズ『マイクロバイオームの世界』斉藤隆央 訳 p255)
といったように、ストレスと腸と炎症の関係について述べられています。
したがって、慢性炎症を抑えるためには、腸内細菌のバランスを整えることで、腸内環境を改善することが必要不可欠になってくると考えられます。
特に近頃は、ストレスなどが原因で腸管からバクテリアやウイルス、化学物質などが体内から流れ出してしまう「リーキーガット症候群」も、炎症の原因になるとして問題視されています。
そのため、ストレスによる体内の炎症を抑えるためには、腸内環境に目を向けることが非常に重要なのです。
ストレスによる体内の炎症を抑えるためには、腸内環境が重要。
「プロバイオティクス」による腸内環境が改善でストレス対策
では具体的にどのようにして腸内に乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やしていけば良いのでしょうか?
そのためにはまず、「プロバイオティクス」が効果的だと考えられます。
「プロバイオティクス」とは生きたまま腸にたどりつき、そこで産生する乳酸などの代謝産物が、ヒトのカラダに有益な健康効果をもたらしてくれる微生物のことです。
つまり、乳酸菌やビフィズス菌などの体に良い影響をもたらす菌が含まれた食品(「プロバイオティクス」)を直接腸内環境に送り込んであげるのです。
実際、この「プロバイオティクス」によって、抗ストレスホルモンである「コルチゾール」の値が減少したという研究報告があります。
ヒトの気分に対するプロバイオティクスの効果を調べた治療として優れたものは、これまで数件しか発表されていない。そのうちの一件では、女性の被験者にプロバイオティクスを四週間投与した後、怒った顔と親しげな顔の写真を見せて、そのときの脳の活動を計測した。その結果、気分に大きな変化は見られなかったが、情動反応が抑制されることがわかった。(ティム・スペクター『ダイエットの科学 「これを食べれば健康になる」のウソを暴く』 熊谷玲美訳 白揚社 p94)
女性と男性の両方を対象とした別の同じような治験では、血中のコルチゾール値が減少していた(コルチゾールはストレスがあると増える)。この効果は、プロバイオティクスを摂取してから一カ月後にも見られた。また、ヨーグルト会社がスポンサーになった研究では、牛乳そのものではなく、ヨーグルトに含まれる微生物のほうに、脳の中枢部分を活性化させ、やはり否定的な考えを抑える可能性があることが確かめられた。(同)
このように「プロバイオティクス」によって乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内に増えれば、ストレスへの耐性が増すことは十分考えられます。
また、腸内細菌のバランスを整えるためには、「プロバイオティクス」だけに頼るのではなく、食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌のエサになる栄養成分が含まれた食品である「プレバイオティクス」を、一緒に摂るようにする工夫も大切です。
参考記事
脳の慢性炎症とストレスが「うつ」を引き起こす?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について述べていますが、今回は脳の慢性炎症とストレスがうつと関係していることについて書いていきたいと思います。
以前の記事で「慢性炎症とは何か?」ということについて述べましたが、「酸化ストレス」や「糖化」による「慢性炎症」は、じわじわと私たちの細胞を傷つけたり、様々な生活習慣病の引き金になったりしていることが、最近の研究で分かってきているとされています。
特に「慢性炎症」は、肥満や糖尿病、動脈硬化などの心血管病、がん、アルツハイマー型認知症など、「生活習慣病」と呼ばれる病気の発症とも関係しているといわれているため、「慢性炎症」を防いで病気の多くを予防するためには、日頃の生活習慣自体を見直す必要があると思われます。
そしてこの「慢性炎症」は「脳」においても起こり、<うつ>の症状とも関係しているそうなのです。
この「慢性炎症」と「脳」、さらには<うつ>の関係について、精神科医の最上悠氏は、『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、
慢性炎症は、ほとんどの場合、痛みなどを感じることがなく、外から見てわかるような症状もあまりありません。
しかし、専門家が顕微鏡で体の組織をていねいに見たり、特殊な血液検査を行ったりしていくと、かすかな炎症反応が確認されます。とくに、脳で起こるものは〝ミクロの慢性炎症〟とよばれ、かなり精密な検査を行っても発見しにくいといわれています。
そして、そのぐらい微弱なものだとしても、炎症がジリジリダラダラと続けば脳や体は確実に疲弊し、蝕まれます。洞窟にしたたる水滴が長い歳月をかけて硬い岩に穴を開けていくように、慢性炎症の蓄積は心身にさまざまなダメージをもたらすのです。
脳の慢性炎症は、心理ストレスがあるときに起こりやすいことがわかっています。(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p57)
と述べています。
また、最上悠氏は「慢性炎症がうつをよぶメカニズム」として以下を挙げています。
- 炎症伝令物質が、うつっぽい症状を引き起こす
- 炎症伝令物質が、脳内科学物質の働きを狂わせる
- ストレスホルモンが脳細胞を殺してしまう
- 脳細胞の〝生まれ変わり〟がスムーズにいかなくなる
- 慢性炎症によって、脳細胞の周辺の組織も死んでしまう
- グルタミン酸や活性酸素が、脳細胞を痛みつける
(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p61)
そして、「脳の慢性炎症は、いくつものメカニズムが複雑に連動してうつを引き起こします」と述べています。
脳の慢性炎症を防ぐことが、うつの予防対策につながる
脳の慢性炎症と「うつ」の関係については、まだ一般的に認知されていないかもしれませんが、余計な心理ストレスなどを減らし、脳の慢性炎症を防ぐことが、うつの予防対策につながることは十分考えられます。
ちなみに最上悠氏は『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、「慢性炎症を改善するための、〝抗炎症のライフスタイル〟」として、「運動」と「食事」というふたつの切り口を挙げています。
「運動」に関しては、一般的に1日に30分程度、軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことは、炎症を抑えるのに効果的だとされています。よく運動はストレス解消に最適だといわれますが、ストレスがなくなるということは、からだで起こっている慢性的な炎症が抑えられるということでもあるのです。
しかし息切れするような激しい運動は、活性酸素によって酸化ストレスが増してしまいますので、逆効果になります。そのため、体が爽快感ではなく、ひどい疲れを感じるほどに運動を行うことには注意が必要です。
脳の慢性炎症を防ぐための食事とは?
次に「食事」に関してですが、ビタミンCやビタミンEを中心にビタミン類をバランスよく摂ることや、ファイトケミカル・ポリフェノールなど、抗酸化作用がある栄養成分が多く含まれた野菜類や果物類を多めに摂ることが炎症を防ぐことにつながっていくとされています。
また、野菜や果物に含まれるファイトケミカルやポリフェノールには抗酸化作用だけではなく、抗炎症作用があるものもあります。
さらに、必須脂肪酸のうちの、亜麻仁油やえごま油、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は、脳の炎症を抑えるのに効果的だと一般的には言われています。
そのほか、近頃は糖質を摂り過ぎることによって血糖値が乱高下し、不安定になる「血糖スパイク」「インスリンスパイク」が、「うつ」の症状を引き起こすとも言われていますので、ごはんやパンなどから炭水化物を摂る前に、食物繊維が多く含まれたサラダを食べるようにするなど、ゆるやかに糖質が吸収されるような工夫も、脳の慢性炎症を防ぐためには大切になってくるように思います。
参考記事
慢性炎症を防ぐための糖質制限とは?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回は慢性炎症を防ぐための糖質制限について述べていこうと思います。
この記事で述べようとしていることは、糖質の摂り過ぎに気をつける糖質制限が慢性炎症を防ぐことにつながっていくということです。
慢性炎症を防ぐための糖質制限とは?
近年、「糖質制限ダイエット」などがブームになり、糖質制限を行うことは、糖尿病はもちろんのこと、がんやアルツハイマー型認知症といった生活習慣病・国民病の多くを予防したり、中性脂肪を減らしてダイエットを成功させたりするのに効果的だと言われるようになりました。
特に現代社会においては、昔と比べて糖質を摂り過ぎてしまう傾向があるため、気づかないうちに糖質を摂り過ぎてしまっている場合は、糖質の摂取は減らしたほうが良いと考えられます。
また、糖質の摂り過ぎは糖化たんぱく質のなれの果てである「AGE」を増やしてしまうことにもつながりますから、慢性炎症や老化を防ぐためには、「糖質制限」を行うことは、日頃の食生活において必要になってくると思われます。
「糖質ゼロ」を目指す糖質制限は慎重に
しかし糖質を極力ゼロにする食生活をずっと続けていくことについては、一度立ち止まり、慎重になったほうが良いと思います。
なぜなら、(いくら糖質をゼロにすることによって生み出される「ケトン体」がカラダにとって良い働きをすると喧伝されていたとしても)身体からしてみれば糖質制限をする必要がないのに、もし「糖質制限」をすることが身体やダイエットのために良いと思い込むことで無理に糖質制限をし続ければ、糖が不足することで身体(たとえば肝臓)にとって負担になってしまう可能性が出てくるからです。
そのため、いくらダイエットやアンチエイジングのためとはいえ、カラダが基本的なエネルギー源である糖を欲しているのに「糖質」をゼロにしてしまうことは、避けた方が良いのかもしれません。
このことに関しては、医学博士の熊沢義雄氏も『「慢性炎症」を抑えなさい』のなかで、「糖質制限食」は「慢性炎症を予防する意味から考えても、健康維持に役立つ食事法と考えて間違いなさそうです」としながらも、
では、どれぐらい糖質を制限すればよいかですが、まず、完全に糖質をシャットアウトしてしまうのは危険です。肥満の人は、医師や専門家の指導を受けながら、無理のない糖質制限食で体重を落とすところからはじめましょう。
とりあえずいま現在太っていない人は、神経質に糖質を排除しなくても、「糖質はとり過ぎない」と、なんとなく注意しておく程度でよいのではないでしょうか。(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p163)
1食当たり、ご飯なら茶碗に軽めに1杯、パンは8枚切りで1枚以内を目安として、あとは、砂糖を使った甘い物、いも類や根菜類、せんべいやスナック類などを食べ過ぎないように気をつける。そうすれば、糖質をとり過ぎてAGEがどんどん増えてしまう可能性は低いはずです。(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p164)
と述べています。
慢性炎症を抑えるための糖質制限は果物よりも人工甘味料に気をつけることが大切
また、「日本では、果物に含まれる果糖のとり過ぎも問題視」されているとはいえ、「丸ごと食べれば糖質をとり過ぎる心配はいらない」という論文も海外にあることから、「食物繊維やファイトケミカルのフラボノイド、カロテノイド、テルペノイドなど、健康に有益な成分もたくさん摂取できる」果物を、「ジュースなどにせず、できるだけ丸ごと食べるようにするとよい」としています。
ちなみに私自身も、「果糖」が含まれた果物を避けるよりは、ビタミン類やミネラル類、食物繊維、ポリフェノール類が豊富な果物を、抗炎症とアンチエイジングのために、どちらかといえば積極的に摂っていったほうが良いと考える立場です。
むしろ、熊沢氏は果物よりも、「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」などの甘味料、さらに「ノンカロリー人工甘味料が入ったノンアルコール飲料などの清涼飲料水」に要注意だとしています。
人工甘味料が体内でどのように悪影響を及ぼしているのか、詳しいことはまだはっきりしていませんが、糖と似たような作用を起こし、炎症の発生に何らかの影響を及ぼしていることは確かでしょう。(熊沢義雄『「慢性炎症」を抑えなさい』p165)
慢性炎症を防ぐための糖質制限は、無理に糖質ゼロを目指すのではなく、まず、ご飯やパン、人工甘味料や砂糖がたっぷり入った甘いお菓子などを食べ過ぎることによる糖質の摂り過ぎに気をつけることが大切だと言えそうです。
糖質の摂り過ぎに気をつける糖質制限が慢性炎症を防ぐ。
慢性炎症を防ぐための糖質制限は、老化の原因になる「AGE」を減らすことにもつながる
また慢性炎症を防ぐための糖質制限を実践することは、老化の原因になる「AGE」を減らすことにもつながっていきます。
以前にも述べましたが、次に挙げるAGEによる「糖化」を防ぐための食習慣は、慢性炎症を防ぐための糖質制限と共通してくるように思いますので、参考にしてみてください。
- 血糖値が急激に上がるのを避けるために、食事は「ゆっくり時間をかけて食べる」。早食い、どか食いはしないようにする。
- 食べ物は単体ではなく、組み合わせて食べるようにする。また、食べる順番にも気をつけ、野菜サラダを先に食べるようにする。
- 納豆やオクラ、ヤマイモなどのネバネバした食べ物や、海藻、こんにゃくなどは、「食べ物の腸への移動を遅らせ、血糖値を上げにくい」。
- 血糖値を上げにくい「低GI食品」はオススメだが、それにこだわりすぎず、栄養をバランスよくとることが大切。