酸化・慢性炎症の原因「ストレス」とは何か?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について書いていますが、今回は酸化や慢性炎症の原因になる「ストレス」とは何か、ということについて述べてみたいと思います。
日頃、私たちは「仕事のしすぎでストレスが溜まっている」「あの人に会うとストレスを感じる」など、何気なく「ストレス」という言葉を使っていますが、そもそも「ストレス」とは何でしょうか?
そもそも「ストレス」とは?
ストレスとは分かりやすく言えば、外側からかけられた圧力によって、私たちの生体にひずみやゆがみが与えられることです。
そのため、ストレス自体は悪いものではないのですし、ストレスは歩く道がでこぼこしているのと同じように、長い人生を生きていくうえで避けて通れないものなのです。
ストレスとは本来、物理学の分野で使われていた用語です。「物体の外側からかけられた圧力によってゆがみが生じた状態」を示します。外側からかけられた圧力に適応しようとして、心や体に生じたさまざまな反応をストレス反応というわけです。
ストレスといっても悪いものばかりではありません。ストレスという適度な圧力や刺激は、心や体に有益です。(藤田紘一郎『腸を鍛えればストレスは消える!』p5)
ストレス反応とは?
また、「闘争か逃走か」(「fight-or-flight response」)という「ストレス反応」は、「私たちが進化の過程で獲得してきた「身を守る仕組み」であることが明らかになっている」といいます(参考 NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』)。
いまから数万年前。私たちの祖先がもっぱら狩猟で生きていた頃、周囲には、多くの点適が潜んでいた。どう猛な動物にいつ襲われるか分からない。万一、出会ってしまったときはどうするか。命がけで闘うか、もしくは必死で逃げるしかない。このような追いつめられた場面で威力を発揮したのが、「ストレス反応」だ。(NHKスペシャル取材班『キラーストレス 心と体をどう守るか』p27)
人間の体は危険に遭遇したとき、心拍数が増え、血圧が上がるようにできている。また、肝臓から糖が放出されて血糖値が上昇すれば、エネルギー源が全身に供給される。闘う姿勢、逃げる態勢の双方が、瞬時に準備されるのである。
このように、ストレス反応とは、私たちの祖先が「命をつなぐために進化させた大切な体の機能」だったのだ。(同 p27~28)
ちなみに、体がストレスを感じると、副腎皮質や副腎髄質からコルチゾールやアドレナリンが分泌され、ストレス反応に対処しようとします。このことはストレスに対する生体の適応現象です。
ストレス反応は現代にも残っている
しかし私たちが現代社会を生きていくうえで問題になってくるのは、この「ストレス反応」の仕組みが残っており、いきなり猛獣に遭遇することはなくなったとしても、人間関係による悩みや過剰労働などによって必要以上にストレスを感じてしまうことなのです。
また、現代社会は電磁波や食品添加物、化学物質など、からだがストレスだと感じ、体内で細胞の老化を促す活性酸素を増やすものが身の回りに溢れているといえます。
さらに近頃、NHK取材班によって長期的なストレスによって心身が蝕まれるという「キラーストレス」の問題が取り上げられ、大きな反響を呼びました。
そしてこのように、必要以上にストレスの影響を受けてしまうことで活性酸素が増えすぎてしまうことが、慢性炎症や老化の原因になる「酸化ストレス」、すなわちストレスによる「酸化」につながっていくと思われるのです。
したがって、酸化による老化や慢性炎症を防ぐためには、必要以上にストレスを感じることを避けるストレス対策が、必要になってくると考えられます。
このあたりのことは、前回や前々回の記事で述べましたので、詳しく知りたい方はよろしければ以下の記事を参照してください。
ちなみに誰もがよく口にしたり、聞いたりするこの「ストレス」という言葉は、カナダのハンス・セリエという科学者が1930年代に提唱した「ストレス学説」から来ています。
セリエは当初「ストレス」という言葉を、動物に加えられる有害作用(種々の物質の注入など)そのものを指すのに使用しようとしたが、後に考えを変えて、有害作用によって引き起こされる状態、つまり肥大した副腎皮質、萎縮したリンパ組織、潰瘍を起こした胃腸壁などを「ストレス状態にある」と考え、これらの状態をストレスと呼ぶことにした。一方、これらの組織のストレス状態を作り出す作用を「ストレッサー」と呼んだ。(杉晴夫『ストレスとはなんだろう』p91)
参考ブログ