脳の慢性炎症とストレスが「うつ」を引き起こす?
当ブログでは、慢性炎症・酸化ストレス・糖化を防ぐためのアンチエイジング・デトックス・ダイエット方法について述べていますが、今回は脳の慢性炎症とストレスがうつと関係していることについて書いていきたいと思います。
以前の記事で「慢性炎症とは何か?」ということについて述べましたが、「酸化ストレス」や「糖化」による「慢性炎症」は、じわじわと私たちの細胞を傷つけたり、様々な生活習慣病の引き金になったりしていることが、最近の研究で分かってきているとされています。
特に「慢性炎症」は、肥満や糖尿病、動脈硬化などの心血管病、がん、アルツハイマー型認知症など、「生活習慣病」と呼ばれる病気の発症とも関係しているといわれているため、「慢性炎症」を防いで病気の多くを予防するためには、日頃の生活習慣自体を見直す必要があると思われます。
そしてこの「慢性炎症」は「脳」においても起こり、<うつ>の症状とも関係しているそうなのです。
この「慢性炎症」と「脳」、さらには<うつ>の関係について、精神科医の最上悠氏は、『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、
慢性炎症は、ほとんどの場合、痛みなどを感じることがなく、外から見てわかるような症状もあまりありません。
しかし、専門家が顕微鏡で体の組織をていねいに見たり、特殊な血液検査を行ったりしていくと、かすかな炎症反応が確認されます。とくに、脳で起こるものは〝ミクロの慢性炎症〟とよばれ、かなり精密な検査を行っても発見しにくいといわれています。
そして、そのぐらい微弱なものだとしても、炎症がジリジリダラダラと続けば脳や体は確実に疲弊し、蝕まれます。洞窟にしたたる水滴が長い歳月をかけて硬い岩に穴を開けていくように、慢性炎症の蓄積は心身にさまざまなダメージをもたらすのです。
脳の慢性炎症は、心理ストレスがあるときに起こりやすいことがわかっています。(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p57)
と述べています。
また、最上悠氏は「慢性炎症がうつをよぶメカニズム」として以下を挙げています。
- 炎症伝令物質が、うつっぽい症状を引き起こす
- 炎症伝令物質が、脳内科学物質の働きを狂わせる
- ストレスホルモンが脳細胞を殺してしまう
- 脳細胞の〝生まれ変わり〟がスムーズにいかなくなる
- 慢性炎症によって、脳細胞の周辺の組織も死んでしまう
- グルタミン酸や活性酸素が、脳細胞を痛みつける
(最上悠『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』p61)
そして、「脳の慢性炎症は、いくつものメカニズムが複雑に連動してうつを引き起こします」と述べています。
脳の慢性炎症を防ぐことが、うつの予防対策につながる
脳の慢性炎症と「うつ」の関係については、まだ一般的に認知されていないかもしれませんが、余計な心理ストレスなどを減らし、脳の慢性炎症を防ぐことが、うつの予防対策につながることは十分考えられます。
ちなみに最上悠氏は『「脳の炎症」を防げばうつは治せる』のなかで、「慢性炎症を改善するための、〝抗炎症のライフスタイル〟」として、「運動」と「食事」というふたつの切り口を挙げています。
「運動」に関しては、一般的に1日に30分程度、軽いジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うことは、炎症を抑えるのに効果的だとされています。よく運動はストレス解消に最適だといわれますが、ストレスがなくなるということは、からだで起こっている慢性的な炎症が抑えられるということでもあるのです。
しかし息切れするような激しい運動は、活性酸素によって酸化ストレスが増してしまいますので、逆効果になります。そのため、体が爽快感ではなく、ひどい疲れを感じるほどに運動を行うことには注意が必要です。
脳の慢性炎症を防ぐための食事とは?
次に「食事」に関してですが、ビタミンCやビタミンEを中心にビタミン類をバランスよく摂ることや、ファイトケミカル・ポリフェノールなど、抗酸化作用がある栄養成分が多く含まれた野菜類や果物類を多めに摂ることが炎症を防ぐことにつながっていくとされています。
また、野菜や果物に含まれるファイトケミカルやポリフェノールには抗酸化作用だけではなく、抗炎症作用があるものもあります。
さらに、必須脂肪酸のうちの、亜麻仁油やえごま油、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は、脳の炎症を抑えるのに効果的だと一般的には言われています。
そのほか、近頃は糖質を摂り過ぎることによって血糖値が乱高下し、不安定になる「血糖スパイク」「インスリンスパイク」が、「うつ」の症状を引き起こすとも言われていますので、ごはんやパンなどから炭水化物を摂る前に、食物繊維が多く含まれたサラダを食べるようにするなど、ゆるやかに糖質が吸収されるような工夫も、脳の慢性炎症を防ぐためには大切になってくるように思います。
参考記事